ターンイットイン(Turnitin)は長い年月をかけて成長してきました。1990年代、盗用・ 剽窃チェックのソフトウェア開発から始まり、今では教育のベストプラクティスを支援するために「教員」と「学生」の二者をつなぐエンドツーエンドのソリューションを提供しています。 長年にわたり、多くの研究論文で、ターンイットインがアカデミック・インテグリティを守り、 教育をサポートする役割を果たしてきたことが示されています。当社のソリューションがいかにアカデミック・インテグリティに影響を与え、 学生の著者意識を育み、学習成果の向上に寄与してきたかを示す研究論文が数多く出版されています。それらの研究は、 ターンイットインが教育機関をサポートし、アカデミック・インテグリティの促進と学びの向上のために、 革新的な開拓者として活躍してきたことを示しています。
ターンイットインの活用が盗用・ 剽窃の軽減にどのように役だったのでしょうか? どのように学生の学びを支えてきたのでしょう? 具体的な研究成果を見ていきましょう。
形成的なフィードバックと学習成果を向上させるためのツールとしてEla Akgün Özbekの論文「Plagiarism Detection Services for Formative Feedback and Assessment: Example of Turnitin (形成的なフィードバックと学習評価のための盗用・剽窃チェックサービスの活用について: ターンイットインの事例)」では、ターンイットインのソフトウェアが剽窃チェックという役割だけでなく、 形成的評価とフィードバックを可能にする可能性を示しています。Özbekは、「ターンイットインが形成的評価の手段として用いられると、盗用・ 剽窃を検知するだけでなく、生徒の学びを向上させ、より質の高い学習成果を得られると思われる」と述べています。 ターンイットインの多機能なデジタル採点ツールを活用すれば、教員と学生の双方が学習の進捗状況を確認できるので、 教員が復習課題を作成してフィードバックを与えることができると強調します。
Ilka Kostka とVeronika Maliborskaの2016年の論文「Using Turnitin to Provide Feedback on L2 Writers’ Texts(第二言語学習者のライティング指導におけるターンイットインの活用)」では、第二言語学習のライティング指導において、 学生にアカデミック・インテグリティを理解させるのにターンイットインがどのように役立つのかを調べています。結論として、 「学生の草稿に形成的・総括的なフィードバックを与えるために、 ターンイットインの2つの特徴(GradeMarkと類似性チェック)を活用できる」と述べ、「ターンイットインを活用できる教員は、 学びの機会を作り出すためにターンイットインのさまざまな特徴や可能性を試してみるとよい」としています。
Jinrongi Li と Mimi Liによる「Turnitin and peer review in ESL academic writing classrooms(第二言語として英語を学ぶ学生へのアカデミック・ ライティング指導におけるピアレビューとターンイットインの活用)」と題する論文では、 ピアレビュー(学生間の相互評価)にターンイットインを活用することで「学生のライティングに対する視野が広がり、他者のライティングに対して、 具体的な提案と包括的なアドバイスを含んだ、より有益なコメントをできるようになり、また、 ピアレビュー中の授業運営もスムーズになることが分かった」と述べています(2018)。
Tess SnowballとVivien Silvey、Thuy Doの2015年の論文「Beyond Plagiarism: Utilising Turnitin as a Tool to Develop Students’ Academic Voice(盗用・剽窃をこえて: 学生のアカデミックな発言権を育てるためのツールとしてターンイットインを活用する)」と2016年の論文「Bridge Over Troubled Water: A Literacy Approach to Using Turnitin(荒波に橋を架ける:ターンイットインを用いたリテラシー指導)」では、 学生の著者意識を高めるうえでターンイットインを活用する効果が検証されています。
これらの研究論文において、Snowballらは「教員も学生も、ターンイットインを、主に、剽窃チェックツールと見なしている」が 「そのような見方では、学生にアカデミック・インテグリティを教え、著者意識を育てるための貴重なツールとして、 この最新テクノロジーを活用する機会を逸する」と述べています(2015)。 彼らの研究では、ターンイットインを完全に授業に組み込んで活用した結果、学習成果が向上した事例が示されています。 「ターンイットインを用いて、デジタル環境でのリテラシー指導を長期的に行うことで、学生は不安や経験不足を乗り越えて、アカデミック・ インテグリティと強い著者意識をもって学習成果を出すことができるようになる」と結論づけています(2016)。
同様に、Amanda MphaleleとSioux McKennaも2018年の研究論文で 「ターンイットインはもっとも人気のある剽窃チェックツールだ。しかし、剽窃行為を取り締まるためのソフトウェア、という認識が主となっており、 学生の成長を促すという教育的な可能性が見過ごされている」と述べています(2018)。
オンライン学習での効果的な指導について2020年の「Challenges and Relationships of e-Learning Tools to Teaching and Learning(オンライン学習ツールの教育への影響と課題)」という論文の中で、Don Anton Robles BalidaとRiah Encarnacionは、オンライン学習環境でターンイットインがどのような役割を果たすのかを研究しています。 それによると「ターンイットインを活用することで、学生の意図的な盗用・剽窃行為が軽減し、教員は提出物すべての独自性を確認する手間を省ける」 とされ、「オンライン学習ツールは、学習者が自分の力で課題を遂行することで自信をつける大きな助けとなる」と述べられています。
以上、紹介した論文は、ターンイットインが剽窃チェックだけでなく、学生の学習を支えるために活用できることを検証した、 過去20年間にわたる研究成果のほんの一部です。
ターンイットイン活用の効果について検証された他の研究については、以下の参考文献リストをご参照ください。
- Turnitin Feedback Studio Secondary Education Efficacy Study 2018(中等教育におけるターンイットインFeedback Studioの効果研究)
- Abrahamson, Earle Derek & Mann, Jonathan 2018: For Whom is the Feedback intended? A Student-Focused Critical Analysis of Turnitin Software as a Tool for Learning (フィードバックは誰のためか? 学習ツールとしてのターンイットイン・ソフトウェアについての、学習者を中心とした批評的分析)
- Akcapinar, Gokhan 2015: How Automated Feedback Through Text Mining Changes Plagiaristic Behavior in Online Assignments(テキスト解析による自動化されたフィードバックが、オンライン・ テストでの剽窃行為をどのように変えるか)
- Alharbi, Mohammed Abdullah & Al-Hoorie, Ali H. 2020: Turnitin peer feedback: controversial vs. non-controversial essays(ターンイットインを用いたピアフィードバック:論争的なテーマの作文とそれ以外の作文の比較)
- Ambler, Trudy, Breyer, Yvonne, & Young, Sherman 2014:Piloting Online Submission and Online Assessment with GradeMark(GradeMarkを用いた、オンラインでの課題提出とテストの試行)
- Ayon, Najwa Saba 2017: Students’ and Instructors’ Perceptions of Turnitin: A Plagiarism Deterrent?(ターンイットインに対する学生と教員の見方:盗用・剽窃を予防する?)
- Balbay, Seher & Kilis, Selcan 2018: Perceived Effectiveness of Turnitin® in Detecting Plagiarism in Presentation Slides(プレゼンテーション・スライドで盗用・剽窃を検知するうえでのターンイットインの効果)
- Balida, Don Anton Robles & Encarnacion, Riah 2020: Challenges and Relationships of e-Learning Tools to Teaching and Learning(オンライン学習ツールの教育への影響と課題)
- Burrows, Steven & Shortis, Mark 2011: An Evaluation of Semi-Automated, Collaborative Marking and Feedback systems: Academic Staff Perspectives(採点とフィードバックを半自動化して協働するシステムの評価:大学教員の意見)
- Chew, Esyin 2010: Turn it in or Turn it off? A Pilot Project for Turnitin and Grademark Experience(ターンイットインは「イン」か「アウト」か? ターンイットインとGradeMarkの活用に関する試験的研究)
- Cohen, Judy 2010: Using Turnitin as a Formative Writing Tool(形成的ライティングツールとしてのターンイットインの活用)
- Cortes-Vera, Jesus, Garcia, Thelma J., & Machin-Mastromatteo, Juan D. 2018: A Mexican strategy to promote greater ethics in academic communications through nation-wide access to Turnitin(国内全域でのターンイットインの使用を通して、学術コミュニケーションにおける倫理観を向上させる、 メキシコの戦略)
- Daoud, Sumaya, Alrabaiah, Hussam, & Zaitoun, Eman 2019: Technology for Promoting Academic Integrity: The Impact of Using Turnitin on Reducing Plagiarism(アカデミック・インテグリティを促進するためのテクノロジー: ターンイットイン活用による盗用・剽窃の軽減効果)
- Davis, Mary & Carroll, Jude 2009: Formative Feedback Within Plagiarism Education: Is There a Role For Text-Matching Software?(盗用・剽窃教育のなかでの形成的フィードバック: テキストの一致を検知するソフトウェアの役割とは?)
- Dawson, Phillip, Sutherland-Smith, Wendy, & Ricksen, Mark 2019: Can software improve marker accuracy at detecting contract cheating? A pilot study of the Turnitin authorship investigate alpha(ソフトウェアを使うと、採点者はより正確に論文代行を検知することができるようになるのか? ターンイットインの独自性チェックソフトの試験的研究)
- Flynn, Sharon 2015: Using Turnitin With Large Classes to Support Writing(大規模クラスでライティング指導を行うためのターンイットインの活用)
- Foltynek, Tomas, Dlabolova, Dita, Anohina-Naumeca, Alla, Razi, Salim, Kravjar, Julius, Kamzola, Laima, Guerrero-Dib, Jean, Celik, Ozgur, & Weber-Wulff, Debora 2020: Testing of support tools for plagiarism detection(盗用・ 剽窃を検知するツールの試用)
- Glover, Ian, Parkin, Helen J., Hepplestone, Stuart, Irwin, Brian, & Rodger, Helen 2015: Making Connections: Technological Interventions to Support Students in Using, and Tutors in Creating, Assessment Feedback(つながりの構築: 教員がフィードバックを作りだし、学生がそれを活用するプロセスを支援するテクノロジーの活用)
- Graham-Matheson, Lynne & Starr, Simon 2013: Is It Cheating – Or Learning the Craft of Writing? Using Turnitin to Help Students Avoid Plagiarism(不正行為か、ライティング技術の習得か:学生に盗用・ 剽窃をさせないためのターンイットインの活用)
- Halgamuge, Malka N. 2017: The use and analysis of anti‐plagiarism software: Turnitin tool for formative assessment and feedback(剽窃チェックソフトウェアの活用と分析: 形成的評価とフィードバックのためのターンイットインのツール)
- Hapsari, Astri, Ghali, Mohammad Izam, & Ammar, Miftah Haniful 2020: The Use of Turnitin to Teach Academic Integrity in Essay Writing Coursework(論文作成の課題でアカデミック・インテグリティを教えるためのターンイットインの活用)
- Hast, Michael & Healy, Caroline 2016: Higher Education Marking in the Electronic Age: Quantitative and Qualitative Student Insight(デジタル時代の高等教育機関でのテスト採点:学生による質的・ 量的な知見)
- Havnes, Anton, Smith, Kari; Dysthe, & Olgam Ludvigsen, Kristine 2012: Formative Assessment and Feedback: Making Learning Visible(形成的評価とフィードバック: 学習を可視化する)
- Hrasky, S. & Kronenberg, D. 2010: Curriculum Redesign as a Faculty-Centred approach to Plagiarism Reduction(剽窃行為の減らすための、教員を中心としたカリキュラム再設計)
- Karimi, Ebrahim Mohammad 2020: ELT Students’ Attitudes toward the Effectiveness of the Anti-Plagiarism Software, Turnitin(ターンイットインの剽窃チェックソフトウェアの効果に対する英語教育専攻の学生の見方)
- Kaktins, Louise 2019: Does Turnitin Support the Development of International Students’ Academic Integrity?(留学生のアカデミック・インテグリティを育むためにターンイットインは役に立つのか? )
- Kostka, Ilka & Maliborska, Veronika 2016: Using Turnitin to Provide Feedback on L2 Writers’ Texts(第二言語学習者のライティング指導におけるターンイットインの活用)
- Krishnan, Rathi 2016: Students Dread the “P” Word: Is Turnitin® Good for Plagiarism Detection and Feedback?(学生が恐れる「剽窃」:ターンイットインは剽窃チェックとフィードバックに有効か)
- Levine, Joy & Pazdernik, Vanessa 2018: Evaluation of a Four-Prong Anti-Plagiarism Program and the Incidence of Plagiarism: a Five-Year Retrospective Study(剽窃チェックプログラムの評価と剽窃の発生:5年間の回顧的研究)
- Li, Jia, Owen, Michael, Walchuk, Kevin, & Mak, Lillian 2021: Limited Capacity and Pedagogical Value: Plagiarism Detection Programs A Holistic Approach to Developing Student Academic Writing Using plagiarism detection programs as an effective instruction tool(教育的価値と限界:効果的な指導ツールとして剽窃チェックプログラムを使用し、学生のアカデミック・ ライティングを向上させる全体的なアプローチ)
- Li, Jinrongi & Li, Mimi 2018: Turnitin and peer review in ESL academic writing classrooms(第二言語として英語を学ぶ学生へのアカデミック・ ライティング指導におけるピアレビューとターンイットインの活用)
- Li, Mimi & Li, Jinrongi 2017: Online Peer Review Using Turnitin in First-Year Writing Classes(新入生のライティング授業におけるターンイットインを活用したオンラインでのピアレビューについて)
- Mann, Jonathan 2016: Using Turnitin to Improve Academic Writing: an Action Research Inquiry(アカデミック・ライティングを改善するためのターンイットインの活用:実践研究の結果)
- McCulloch, Alistair, Behrend, Monica B., & Braithwaite, Felicity Anna 2021: The multiple uses of iThenticate in doctoral education: Policing malpractice or improving research writing? (博士課程におけるiThenticateの多目的利用:不正行為の取り締まりか、論文作成の指導か? )
- McKie, Annamarie 2014: ‘Experiencing that Eureka Moment!’: Using Turnitin as a Formative Learning Tool to Enhance Students’ Academic Literacies(「そうか!」 という気づきを体験させる:学生のアカデミック・リテラシーを高めるための形成的な学習ツールとしてのターンイットインの活用)
- Mphahlele, Amanda & McKenna, Sioux 2019: The use of turnitin in the higher education sector: Decoding the myth(高等教育機関におけるターンイットインの活用:剽窃チェックソフトウェアの誤解を解く)
- Ng, Curtise K.C. 2020: Evaluation of academic integrity of online open book assessments implemented in an undergraduate medical radiation science course during COVID-19 pandemic(COVID-19パンデミック下における、医療放射線科の学部生を対象とした、資料参照可能なオンライン・ テストでのアカデミック・インテグリティの評価)
- Olson, Rebecca, Burton, Anthony, Byron, Paul, & Turnbull, Margo 2014: Markers’ Experiences of Providing Formative Assessment Feedback in Hardcopy, Desktop and Tablet(紙、デスクトップPC、 タブレットで形成的評価のフィードバックを提供する際の、採点者のエクスペリエンス)
- Olson, Rebecca & Tannous, Caterina 2015:Students’ Perceptions of eMarking: Grademark vs. iAnnotate(デジタル採点への学生の反応: GradeMark対iAnnotate)
- Orlando, J., Hanham, J., & Ullman, J. 2018: Exploring Intentional Use of a Technological Proxy, Turnitin, to Enhance Student Academic Literacy Practices(学生のアカデミック・ リテラシーを高めるためのテクノロジー、ターンイットインの意識的な活用に関する調査)
- Özbek, Ela Akgün 2016: Plagiarism Detection Services for Formative Feedback and Assessment: Example of Turnitin(形成的評価とフィードバックのための剽窃チェックサービス:ターンイットインの事例)
- Pollock, Christine, Rice, Ann Marie, & McMillan, Ailsa 2015: Mentors’ and Students’ Perspectives on Feedback in Practice Assessment: A Literature Review(実務現場でのフィードバックに対する指導者と学生の意見:文献研究)
- Rogerson, Ann M. & McCarthy, Grace 2017: Using Internet based paraphrasing tools: Original work, patchwriting or facilitated plagiarism?(インターネット上の言い換えツールの活用:オリジナルの作品か、つぎはぎの作文か、 剽窃の促進か?)
- Silvey, Vivien, Snowball, Tess, & Do, Thuy 2016: Bridge Over Troubled Water: A Literacy Approach to Using Turnitin(荒波に橋を架ける:ターンイットインを用いたリテラシー指導)
- Smith, Phil, John, Blooma, & Kurian, Jaya,2015: A Conceptual Framework to Assess the Effectiveness of Rubric Tool(ルーブリック活用の効果を評価するための概念的枠組み)
- Snowball, Tess, Silvey, Vivien, & Do, Thuy 2015: Beyond Plagiarism: Utilising Turnitin as a Tool to Develop Students’ Academic Voice(盗用・剽窃をこえて: 学生のアカデミックな発言権を育てるためのツールとしてターンイットインを活用する)
- Sujee, Eva, Engelbrecht, Alta, & Nagel, Lynette 2015: Effectively Digitizing Communication With Turnitin for Improved Writing in a Multilingual Classroom(多言語クラスでライティング力を向上させるための、 ターンイットインを用いたコミュニケーションのデジタル化の効果)
- Sulehri, Imran Ghaffar, Chaudry, Muhammad Shahzad, & Qadeer, Shereen 2017: Role of Turnitin in e-learning(オンライン学習におけるターンイットインの役割)