ターンイットインの最高製品責任者、アニー・ チェキテッリがターンイットインのAIライティング検知機能における誤検知についてという注目の話題を取り上げ、 その対処法について3つの行動ポイントを紹介しました。今回はその話題について、教員と学生の観点からさらに掘り下げていきたいと思います。
AIライティング検知機能の誤検知率が低くても、緊張や不安を与える可能性があることを認識した上で、 少しでも安心していただけるような情報を提供したいと思います。
このことを念頭におき、当社のAIサイエンティストは、誤検知率に注目しつつ、AI検知機能全般を進化させるために尽力しています。 ターンイットインは、この新たなAI時代のパートナーとして教員と学生の双方のために、 AIライティング検知機能の継続的な改善に取り組んでいます。
教員は誤検知の可能性にどのように対処できるのか?実感がないかもしれませんが、教員は高い影響力をもっています。当社で公開しているリソースは、アカデミック・ インテグリティの文化を尊重し、教員が、不当な被害から学生を守るために、活用できるよう作成されています。AIに関係なく、 学生を守るための努力が、教員と学生の強い信頼関係の基礎となると考えます。AIライティングの誤検知に関する不安がある場合、 まずは教員と学生が心を開いて正直に話し合う必要があり、信頼関係がすでに構築されていなくてはなりません。
- ひとつひとつの課題について、許される行為と禁止される行為を明確に示す。
できれば、教育機関・学部のガイダンスを参照しましょう。学生がAIライティングツールを使用する場合は、 出典の明示を学生に求めるようにすると良いでしょう。
- 学生の成果物と比較するための、診断用のサンプル文章を集める。
不正行為のリスクを最小化するために、必要に応じて授業内課題として実施すると良いでしょう。
- 課題を出題する際に、不正行為がしづらい指示文や課題を作成する。
当社のAI不正利用対策ルーブリックが、 AIライティングツールが不正利用されるリスクの低い学習環境を構築する際に役立ちます。
- 最終成果物のみならず、作成課程の成果物も収集する。
ターンイットインのDraft CoachやFeedback Studioの再提出機能を用いて、ライティングの最初から最後まで、 下書きなど作成課程の成果物も収集するようにしてください。
- AIの不正利用が疑われる場合の対処方法をあらかじめ計画し、学生が対応できるように課題の期待値を設定する。
疑わしい学生に対して、自分の書いた文章をどれだけ理解しているか試す質問、 ライティング中の学生自身の判断を可視化するための振り返り質問、学習上の欠点や問題を明らかにするための探索的な質問など、 対処方法を事前に決め、学生にも知らせておくことも良いでしょう。
次に、ライティング課題の最終稿が提出された後で教員にできることを見てみましょう。
- ターンイットインのAIライティング指数を活用し、全教員がその機能を理解しておく。
AI検知機能に関する資料は、ターンイットインのAIに関する特集ページをご覧ください。
- AI指数は教員の判断に代替するものではないことに気をつける。
ターンイットインの目標は、教員が良い判断をできるよう必要な洞察を提供することです。他方、 教員自身の学生に関する知識や職務に関する知見も同様に重要です。
- 課題とプロセスを見直す。
出題した課題を見直し、AIツールが不正利用されるリスクがあったか振り返るようにしてください。
- 疑いのある学生と話し合いを積極的に持つようにする。
このような場合の判断には、相手との丁寧な対話が必須です。
- 疑わしい文章を、事前に集めた診断用サンプルと比較する。
フラグのついた文章は、当該学生が書いたこれまでの文章と比較して文章のスタイルや複雑さ、洗練度が一致していますか? 特徴的なフレーズ(不自然なイディオムや表現)に注目し、それらについて学生と話し合うことをお勧めします。
- 学生の誠実さを前提として判断する。
レビュー後の証拠が不十分であれば、学生の主張を優先しましょう。教員が適切な会話の機会を設け、正しい質問をし、 それでも不明確である場合、学生を罰してはいけません。学生を信頼する対応が今後のAIの不正利用に対する強力な抑止力にもつながるでしょう。
学生と教員の力関係は、学生から見ると不均衡に思えるかもしれません。それでも、学生自身が積極的に選択できる方法があります。
- 執筆プロセスを重視するよう学生に勧める。
ライティングの質が向上するだけでなく、それぞれの段階で、独自の成果物にいたるまでの途中経過を具体的に見ることができます。 ブレーンストーミングや下書き、修正稿、クラスメイトや教員、 その他の信頼できる人物からのフィードバックを反映した成果物などを教員が確認できれば、「思考」 が生き生きとしたものになることを学生に知らせましょう。
*専門家からのヒント:可能であれば、ターンイットインのDraft Coachを活用したり、ターンイットインのFeedback Studioの再提出機能を使用すると、より簡単に実行できます。どちらのツールでも、学生の文章が形になっていく過程を記録し、 学生自身の手による独自の成果物を可視化できます。
- AIライティングツールの使用の可否を各教員に尋ね、学生が期待されることを確実に理解するよう指導する。
AIツール使用の可否については教員によって判断が分かれるでしょう。
- 学生に自分自身で作成する必要性を伝える。
学生自身が自分の意見をもち、独自のライティングスタイルをつくりあげることが重要であり、 そのためにはどの課題に対しても本物の努力が必要であることを説明するようにしてください。
- AIライティングツールを使用した場合、出典を明示しなければならないことを教える。
そうすることで、AIの作品を自分の成果物として提出してはいけないことが明確になります。課題に関わるすべての作業について、 明確な情報源と引用を示すことの重要性を理解させる必要があります。
- 評価に関して質問された場合、冷静に対処するよう学生にアドバイスする。誰にとってもまったく新しい状況であるため、 教員も同じ立場で一緒に学んでいる最中であることを学生に伝えましょう。質問をされた学生が身構えてしまうのはよくありません。誠実に議論し、 自分の主張を述べるよう学生を促しましょう。
- 教員の最終目標は学生の学びを支えることであることを学生に伝える。互いに敬意を抱くことから始めると、 長い目で見たときに全員のためになります。AIライティングツール使用の可否について、最初の議論にたち戻ることも有効かもしれません。
- 学生が自分の執筆プロセスについて話し合えるよう準備させる。いつ、どこで課題を作成したのか?途中で誰が読み、 フィードバックをくれたのか?どのような変更をなぜ行ったのか?どのように研究を進めたのか?具体的な言葉遣いについてはどうか? 個人的な体験や考えが文章に明確に表現されているか?学生に自分の執筆過程を話させることで、教員は成果物に費やされた努力を理解し、 学生自身の手による、独自の成果物であると信頼できるようになります。
- 証拠を共有するための準備を勧める。メモやアウトライン、バージョン履歴、執筆中の下書きに加え、 クラスメイトや信頼できる査読者からのフィードバックもあれば、提出できるよう準備させましょう。
あらゆる立場の人々が、進化するテクノロジーと教育の、新たな接点を学んでいる最中です。 すべての答えをもっているわけではないことを承知のうえで、この状況に対応していかなければなりません。思い込みや決めつけはせずに、 心を開いて信頼関係を築くことが、共通理解を図るために必要不可欠です。