- 作業スペースの確保:重い解答用紙の持ち運びが大変だった。また、 採点作業や答案用紙の管理に広い作業スペースの確保が必要だった。
- 見落とし等のミスのリスク:採点途中で配点の変更があった際、1枚ずつ戻って点数の修正ややり直しが必要なため、 採点ミスのリスクがあった。答案を探す手間や、整理する手間がかかっていた。
- 採点業務とフィーバックの限界:授業開始前に回収した課題に対して、短時間で全体の理解度を把握することが難しく、 授業内でのフィードバックは大まかなものに留まっていた。授業後に採点する際に新たな解答傾向を見つけるなど、 フィードバックに限界を感じていた。
- 場所を選ばない採点:オンライン上で採点が完結するため、解答用紙の持ち運びや作業スペースが必要なくなり、 場所を選ばない採点を実現する。
- 採点ミスの回避:解答グループ単位での採点変更が可能なため、採点途中で配点の変更が必要になった場合でも、 全ての解答に自動的に変更が反映されることによって、採点ミスや見落とし等のリスクを回避する。
- 採点業務とフィードバックの効率化:解答の自動グループ化により、 解答用紙毎ではなくグループ毎に集約して採点することで、効率的に全体の理解度を把握し、より質の高いフィードバックを提供する。
Gradescoepを導入したことで、採点結果がデータ化され、統計データに簡単にアクセスできるようになったため、 質の高いフィードバックを学生に返せるようになった。各々の質問に対してどのような間違いが多かったか傾向を把握しやすくなったことで、 授業内でより具体的な解説や講評を行うことが出来るようになった。コロナ禍における遠隔試験の事例と対面授業での事例を紹介する。
事例1:遠隔試験における活用
1年生向け授業(離散数学):中間試験・期末試験で利用
2年生向け授業(最適化法):通常の課題で利用
試験前
大学LMS(Webclass)を通じてPDFの答案用紙を配布
- タブレット等で解答する学生は、 答案を事前にダウンロード
- 紙とペンで解答する学生は、 答案を事前に印刷
※ ポイント:カンニングなどの不正行為を防ぐ ために、丁寧な注意喚起を実施した。
試験開始
大学LMSを通じてPDFの問題を公開
- システムトラブルに備え、 試験の数週間前から実施方法を授業内で説明
※ ポイント:トラブルのリスクを減らすべく 時間的余裕を持ち実施した。
試験終了
終了後、一定時間(15分程度) のうちに提出
※ ポイント:回収した回答は教員、Gradescope 上へ一括アップロードをし、採点を実施した。
対面中心の授業(2021年度、2022年度)が戻ったことにより、1年生向け授業(離散数学: 2021秋 受講者数68名)でのGradescopeの利用を実践し、使用前・後の変化を比較した。
Gradescopeを導入し、採点業務の効率化と授業の質向上に役立てることで、学生の学習成果の最大化を実現できている。 今後は、ソースコードの類似性に基づく剽窃チェック等、プログラミング課題での利用も増やしていきたいと考えている。 また、 Gradescopeで得られたデータを活かして、授業を改善をしたことで、理数系の授業におけるGradescopeの有効性 を経験できた。深川准教授以外では、言語学の教員が、音韻記号など手書きの解答が求められる授業でGradescopeを 活用し、 高い自由度が評価されたことなどから、文系の教科でも有効的に活用できることが検証されている。