世界規模で続く新型コロナウイルス感染拡大の対応策として、ハイブリッド型授業の導入が始まっています。 新たな教育形態への転換が急がれたのはもちろんのこと、教育者にはバーチャルな学習環境での成績評価も求められています。
学生と対面する機会が減るわけですから、アカデミック・インテグリティの維持について懸念が生じるのは当然のことですが、 教室での物理的な交流が減ったからといって、アカデミック・インテグリティが損なわれるわけではありません。 新たなテクノロジーを活用することで、アカデミック・インテグリティを脅かす問題の芽を早期に摘み取り、学生が自分の考えを述べ、 他者の考えを正しく引用するよう指導できます。学生もこれらのツールを利用して、自分の課題を提出前にチェックできますので、 ハイブリッド型授業におけるアカデミック・インテグリティ遵守の習慣化につながるでしょう。
どのような学習環境でもアカデミック・インテグリティ を意識する
教育形態は変化していますが、アカデミック・インテグリティは、学生との対話を通じて築き上げるものであることに変わりありません。 まずシラバスでアカデミック・インテグリティを定義し、課題提出における不正行為の罰則を明記することで、その遵守に取り組むことができます。 そして、学期を通じて具体的な指導を続けましょう。学びを促すためのこうした重要な土台がなければ、 学生は剽窃や論文代行といった悪癖を身に着けることになり、そうした習慣を断ち切ることは難しくなるでしょう。
学生に求める行動を明確に定義し、アカデミック・インテグリティに対する認識を共有するだけでなく、 課題から成績の評価に至るまでのあらゆる面で、アカデミック・インテグリティの強化に取り込みましょう。テクノロジーを活用することで、 こうした取り組みをサポートし、アカデミック・インテグリティの新たな動きに対応することができます。剽窃を速やかに発見することができれば、 それを学生が学びの機会へと変えることができます。成績の評価やフィードバックのためのツールを用いれば、 オンライン授業に順応しつつある学生との関係性強化に大いに役立つものと期待されます。
文献の引用方法を知らない、レポートに引用を明記したことがないといった理由で、結果的に剽窃行為を行っている学生もいることでしょう。 こうしたアカデミック・インテグリティに対する理解不足は、非倫理的な行いを誘発しますので、早期の発見・対策が求められます。リモート学習は、 教室における対面授業よりも匿名性が高いため、引用であることを明記しない、 家族や友人が作成した課題を提出するといった不正行為につながる危険性が伴います。
ストレスを抱えた学生ほど、オンライン教育下の不正行為に陥りやすいと考えられますし、 現在の学習環境がストレスの原因であることは間違いないでしょう。自分の考えを述べ、他人の考えを適切に引用する能力は、 勉学の中核をなすものです。アカデミック・インテグリティの醸成は、こうした能力を身に着けるために重要な役割を果たし、 学生が社会に出てからも必要となる、根本的かつ生涯にわたって役立つスキルであると言えるでしょう。
新学期を迎えた学生の前には、予想もつかない試練が待ち受けているかもしれません。教育機関はこれを好機と捉え、 学生の価値観を形成する一環として、アカデミック・インテグリティを強化すべきでしょう。大学入学前であっても、自分の意見を述べ、 他人の意見を適切に引用できるようになるものです。そして、教育制度と教育機関は協同し、 ハイブリッド型授業において学習成果を向上させる策を見出す必要があります。新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後も、 オンライン授業は重要な教育形態のひとつであり続けるでしょう。バーチャルな学習環境であっても、教室における対面教育であっても、 アカデミック・インテグリティの遵守は不可欠です。こうした歩みを確実に進めることで、この不確実な時代において教育機関はその評価を維持し、 学生は質の高い教育を享受できるでしょう。