オンライン授業が定着しつつある昨今、アカデミック・インテグリティに大きな関心が集まっています。 オンライン授業では学生の監督が行き届かず、さまざまな不正行為の増加が懸念されています。
学業上の不正行為に対しては、オーナーコードを遵守させることで、学生を倫理的な行動へと導くことができるでしょう。オーナーコードとは、 教育機関において、学生が尊重すべき独自の倫理基準であり、アメリカの高等教育では幅広く採用されています。オーナーコードを通じて、教員は、 大学の方針や学生の行動規範を明確に説明するという重要な役割があります。そして保護者には、リモート環境における行動規範を理解・遵守させる責任があります。オーナーコードは、 個人の倫理観を育むだけでなく、学生同士の関係性にも影響を与えます。そして現在では、 学業における不適切な行為をより確実に特定する様々なソリューションが開発されています。
オンライン授業における学業不正
教員と学生の交流が限られている現状では、学生が意図的に規範を逸脱したのかどうかを見極めることがより困難になっています。 課題完成までのプロセスを説明させたり、簡単なヒアリングを行うことで実力不足を明らかにすることも可能ですが、 こうした方法は時間がかかりますし、教員がアセスメントに必要なスキルを有していない場合には、判断に迷うこともあるでしょう。
こうした中、学生の課題をより客観的に評価する新たなテクノロジーが開発されています。教員はこれらのツールを利用することで、 十分な情報に基づいた意思決定を行い、問題に対処したり必要な行動をとることが可能になります。
オーナーコード活用と遠隔授業における行動規範
オーナーコードを通して学生は課題作成における誠実性や信頼性について学ぶことができるため、 教育現場の現状に応じてその内容を見直していく必要があるでしょう。指導を重ねることで効果を発揮するため、 学年の初めにオーナーコードに署名をさせ、一年を通じて内容を確認させるとよいでしょう。また、学生との信頼関係を築くために、 定期的なフィードバックやオンラインの個人面談を実施して、アカデミック・インテグリティについて学ぶ機会を与えることも非常に重要です。
教員は、安全かつ相互的でオープンな学習環境を提供することで、 学生が直面しているこの困難な状況を乗り越えられるよう働きかけねばなりません。
万が一、剽窃行為が明らかになった場合、教育者は学生に責任を負わせると同時に、学生が自分のミスから学び、 成長するよう支えなければなりません。アカデミック・ インテグリティをサポートするために開発された教育ツールにはフィードバックやスキルギャップのチェックといった公平性に資する機能があるため、 教員の生産性と効率性を向上させるでしょう。また、学生の課題を評価し、個々が取り組むべき領域を特定するのに役立ちます。学生もまた、 提出前に自分の課題をチェックできるので、アカデミック・インテグリティの遵守につながります。
教育者がアカデミック・インテグリティを保持することは非常に重要です。学業上の不正行為というものは、 学業成績や将来のキャリアに不可欠な批判的思考力(critical thinking skills)の育成を阻むものだからです。
学業上の不正行為がもたらす影響や、アカデミック・インテグリティの重要性を教育することで、 剽窃行為を大幅に減らすことができるはずです。大学を卒業した後も、このような価値観が仕事でもプライベートでも彼等を支え、 コミュニティの発展に資する一員となることでしょう。
時代の変化に伴い、剽窃等の不正行為はその姿を変えており、オーナーコード等の指針遵守の重要性はさらに高まっています。 学生の学習意欲を奨励すると同時に、アカデミック・インテグリティの遵守およびツール活用に関する指導を通じて、 こうした姿勢を強めていかなければなりません。
教員がアカデミック・インテグリティの遵守を奨励することは、学業における不正行為を防ぐだけでなく、 誠実な社会人にも貢献しているといえるでしょう。